HYBRIDS_vol17
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8 その塩飽の宮大工の技術が活きる代表的な建築物が、香川県の善通寺市にある。「総本山善通寺」。真言宗善通寺派の総本山で、四国八十八箇所霊場の第七十五番札所でもある。弘法大師空海(774〜835)が誕生した地としても名高い。総面積約45,000㎡に及ぶ広大な境内は、「伽藍」と称される東院、「誕生院」と称される西院の東西二院に分かれている。金堂、五重塔などが建ち並ぶ「伽藍」は、創建時以来の寺域であり、御影堂を中心とする「誕生院」は、弘法大師が誕生した佐伯家の邸宅跡にあたる。 伽藍に建つ五重塔は高さ43mを誇り、木造としては屈指の高塔である。火災や倒壊などによって3度の消失に遭い、現在の塔は4代目。1845(弘化2)年、仁孝天皇の綸旨を賜り幕末に再建が開始され、1902(明治35)年に完成した。明治以降の五重塔では初めて国の重要文化財に指定されている。 この4代目五重塔を建てたのが、塩飽大工。野地板には、第一人者の橘貫五郎の名前が棟梁として記されている。  塔の内部に入ると、中心を天に向かって心柱がそびえているのが目に飛び込んでくる。が、驚いたことに、この心柱が礎石に着いていないのだ。心柱は五重塔の構造の中でも、別格の神秘性をもって位置づけられているが、実は心柱と塔の小屋組みが接しているのは、屋根の頂上部1箇所のみ。高層の塔は、木材の乾燥などによって何十年、何百年と経つうちに縮んでしまい、この変形は、心柱に対して小屋組み歴史的建造物に、塩飽大工の心意気とプライドを見る。しわくしんばしら総本山善通寺 五重塔五重塔内部は通常非公開だが、毎年ゴールデンウィークに特別公開が実施され、2階まで上がることができる。受付は9:00~16:00。問い合わせ先:総本山善通寺 0877-62-0111

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